玄海町長に対し使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致に反対する申入れをおこないました

                          2009年3月3日
佐賀県玄海町
町長 岸本英雄様
                       玄海原発対策住民会議
                           会長 藤浦晧

              要求書

 2009年3月2日付「佐賀新聞」は、「玄海町原子力発電所から出る使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設の建設計画が進んでいる」「適地を探している九州電力と同町で調整に入っており」「予定地は玄海原発に隣接する農地」と報道しています。
 貴職は、2007年6月19日、使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設が予定されている青森県むつ市を訪れ、誘致のすすめ方などについて説明を受けたあと、地元紙「東奥日報」の質問に対して、使用済み核燃料中間貯蔵施設を玄海町に誘致する考えがあることを明らかにしました。
 私たちは、その翌日、他の団体とともに、貴職に対する「使用済み核燃料中間貯蔵施設を誘致しないよう求める文書」を提出し、その翌日、貴職に直接会って、使用済み核燃料中間貯蔵施設を誘致しないよう要請しました。
 貴職は、その後、使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致を、玄海町民をはじめ周辺住民が知ることができないところで、密かに事をすすめていたことが、このたび明らかになったわけです。
 私たちは、危険な施設の誘致に反対します。しかも、危険な施設の誘致を、玄海町民・周辺住民に知らせず進めるという、民主主義の社会では、してはならないやり方に強く抗議し、誘致反対を表明するとともに、誘致の動きを中止されるよう要求します。
 なお、私たちは、貴職が、私たちの「MOX燃料の輸送についての申し入れについて、何等対応することなく九州電力に対して事前了解を与えた、玄海町民・周辺住民無視のやり方に、あらためて強く抗議し、事前了解の撤回を要求します。
 私たちは、これまで、機会あるごとに、現在の原子力発電が、放射性廃棄物の処理処分の見通しが立たないまま進められており、そのことが、今日の原子力発電の行き詰まりをもたらしたということを指摘してきました。その、原子力政策の失態の「ツケ」を、玄海町民と周辺住民に押しつけられてはたまりません。放射性廃棄物は、地球環境に、大きな負荷をもたらします。
 ウランを燃料とする現在の原子力発電は、使用済みウラン燃料を全量再処理してプルトニウムを取り出し、そのプルトニウム高速増殖炉で使用してさらに多くのプルトニウムを手に入れて使用するという「核燃料サイクル」は、高速増殖炉の開発、実用化に行き詰まり、使用済みウラン燃料は再処理せずに、高レベル放射性廃棄物として直接処分するのが主流となっています。
 問題は、放射性廃棄物(使用済みウラン燃料の再処理によって排出される高レベル放射性廃棄物や、使用済みウラン燃料そのももを中心とする放射性廃棄物)の処理処分の見通しが立っていないということです。アメリカ合衆国のユッカマウンテン(ヤッカマウンテン)の放射性廃棄物最終処分場では、連邦高裁や環境保護局の意向を受けて、原子力規制委員会が、百万年後までの周辺の放射線レベルを考慮することを求めることにしました。
 最終処分場の見通しが立たない現状では、中間貯蔵施設は、そのまま、最終処分場になる可能性が濃厚です。
 使用済み核燃料中間貯蔵施設を安易に誘致してはなりません。
 私たちは、使用済みウラン燃料と放射性廃棄物を、これ以上増やさないようにするために、現在の方式の原子力発電から一日でも早く撤退することを求め、再生可能エネルギーへの早急な転換とともに、新しい発電技術の研究開発の促進を図るエネルギー政策の策定と実施を求めます。
 したがって、私たちは、貴職に対して、使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致を中止するよう重ねて強く要求します。
 なか、このことについて、先の2月6日付「要求書」の問題点とともに、貴職との十分な意見交換の機会を設定してくださるようお願いします。
                                以上