玄海原発1号機の脆性遷移温度について

お答えします。
2010年12月13日、玄海町議会での、藤浦議員の質問に対する岸本町長の答弁に関して寄せられた、次の質問にお答えします。
Q、玄海原発1号機の脆性遷移温度98℃は、国内で最悪の数値だと聞いたことがありますが、本当ですか?
A、大変心配になることで、残念なことですが、“本当”です。
 玄海1号機の脆性遷移温度は、2009年4月に監視試験片を取り出して試験(検査)した結果、原子炉圧力容器の母材の脆性遷移温度は「98℃」ということです。
 井野博満・東京大学名誉教授は、「原子力資料情報室通信440号」(2011年2月1日発行)に掲載されている「危険域に達した玄海1号炉圧力容器の照射脆化」と題する論文の中で、次のように述べられておられます。
 「今まで日本で観測された圧力容器の脆性遷移温度は美浜1号が溶接金属の81℃が最高だったから、玄海1号はそれを超える日本一危険な原子炉圧力容器になったと考えてよいだろう。」
Q、平成46年ごろの推定値だとありますが、では現在はどれほどなのでしょうか?
A、「平成46年ごろの推定値」というのは、九州電力が、九州電力から資料の提供を受けている佐賀県(県庁)、玄海町(役場)、唐津市(市役所)などが言っているものです。
 「平成46年頃」というのは、玄海1号機が「営業運転」を開始してから「60年目」に当たる年が、平成47年(2035年)ですから、2035年(平成47年)のことを言っているのだと思います。玄海1号機の「現在」の脆性遷移温度は、私たちは「98℃以上」だと考ています。

玄海原発1号機 脆性遷移温度98℃

2010年12月13日
玄海町議会において藤浦晧議員の質問に答える

 試験片取り出し温度98℃は平成70年ごろを想定した温度
 原子炉圧力容器の健全性に問題はない


(藤浦) 玄海原発1号機において第4回試験片の取り出しで脆性遷移温度がどのくらいになったのか。
(玄海町長) 脆性温度は、 運転開始後30年を経過する前に実施をしている高経年過技術評価の報告書の中や、10年ごとに実施している定期安全レベルの結果として一般の方にもわかるように玄海発電所のエネルギー館で閲覧できるようにしてある。
 脆性温度の公表については、内容において専門的であり、脆性温度について記載している高経年過技術評価の報告書や定期安全レベルの報告書を提出される九州電力もしくは審査される国が公表すべきだ。
判断は、第4回目の試験片の取り出し結果で、九州電力は運転開始後60年(平成46年)ごろでは脆性遷移温度を約91℃と想定している。今回の結果で得られた関連温度は運転中の原子炉が急速に冷やされた場合の原子炉圧力容器の健全性評価や運転中の原子炉圧力容器の圧力と温度を適切に運用管理するための指標となるもので、この温度をもって直接的に原子炉圧力容器の健全性を評価するものではない。
 今回の試験、及び予測評価結果により、玄海1号機は60年運転を想定しても原子炉圧力容器の健全性に問題はないと聞いている。
 第4回の試験片の取り出し結果の数値が98℃でありましたが、その数値は、平成70年ごろを想定した数値である。したがって、九州電力は運転開始後60年の平成46年度では、約91℃と想定してる。なお、電気技術規定JEAC42062007では、新設される原子炉圧力容器について要求度として照射脆化を考慮し93℃未満であるとされている。しかし、その指標は、既存の原子炉の評価における限度といったものではないと伺っている。
九州電力が運転開始後、60年を想定した約91℃は、それを下回っており、これらの試験及び予測評価結果により60年運転を想定しても原子炉容器の健全性に問題ないといわれている。

原発問題学集会のご案内

海鳴り
 2010年11月1日
 
原発問題学集会
 
老朽化玄海原発1号機の問題点
―脆性遷移温度への疑問―
 
2010年11月13日(土)14:00〜16:00
唐津市教育会館(唐津市和多田天満町)
問題提起 仲秋喜道、坂本洋(玄海原発対策住民会議)
資料代300円
 
☆皆様、誘い合っておいでください。
☆なぜ、九電さんは住民の疑問にきちんと説明しないのですか? 何か隠していませんか?
                         主催/玄海原発対策住民会議

2010年活動方針を決定

活動方針
当面の活動課題と活動方針

プルトニウム利用をすすめる核燃料サイクルを基本とした原子力発電中心のエネルギー政策に反対し、原子力政策の根本的見直しを要求します原子力発電の危険・放射性廃棄物の危険性を増大させる玄海原子力発電所プルサーマルに反対します。
老朽化原発の延長・酷使運転に反対し、玄海原発1号機、2号機の廃炉を要求します。
原発の増設、直下に活断層がある六ヶ所村再処理工場の操業、高速増殖炉もんじゅ」の運転再開、高レベル放射性廃棄物地層処分および玄海町への中間貯蔵施設導入に反対します。
原発の耐震設計審査指針の根本的見直しと早急な施設の耐震強化対策を要求します。玄海原発の耐震設計の見直しと海底断層の徹底的調査研究を批判的専門家を入れた調査で進めるよう要求します。
経済性優先・利潤追求の原発運転・規制緩和、定期検査の間隔延長に反対します。
国や電力会社の度重なる「事故隠し、データ改ざん、隠蔽」に反対し、原発のすべての情報公開を要求します。
原子力安全規制機関は、原子力の推進機関から独立し、立地、設計、建設、運転、廃止措置など、すべての段階で一元的に安全規制にあたる機関として確立することを要求します。
唐津市九州電力との「安全協定」締結を要求します。
日本の21世紀のエネルギーは、現在の原発依存を改め、再生可能の自然エネルギー中心の政策へ転換することを要求します。
再生可能なエネルギーの研究・開発・普及の促進と省エネルギー政策の政策推進を要求します。
原子力発電については段階的に縮小・廃止することを要求します。
温暖化対策については、原発での対応でなく、省エネルギーの促進と再生可能な自然エネルギーを中心に進めることを要求します。
原発の「過酷事故」を想定した緊急時対策の確立を要求します。そのため、現在の「原子力防災計画」の根本的な再検討を要求します。
緊急時対策圏の拡大、事故の規模段階による緊急時対策を要求します。
住民への原発事故に対する実効性のある事故対策マニュアルの作成・配布を要求します。
周辺住民への通報体制の確立、避難ルートの確保、複数の避難場所の設置、施設・設備・備品の充実確保、完備の総点検を住民を入れて実施することを要求します。
玄海原発1〜4号機への耐震安全対策・対応の再検討の実施を要求します。
原子力防災訓練」を地区全住民が参加するなど、実効性のある計画への抜本的見直しを要求します。
ヨウ素剤の各家庭・各事業所・病院・幼稚園・保育所などへの配備を要求します。

憲法の平和主義、第9条を守り、平和・中立・非同盟の政策で、国民の安全、原子力施設の安全を守ることを要求します。

今年度の活動方針
(1)機関紙「海鳴り」の定期発行により会員相互の交流を図ります。
(2)宣伝活動を計画的に実行します。
?街頭宣伝、マイク、のぼり、横断幕、立看板  
   ?チラシ配布の計画的宣伝
   ?出前ミニ講座の開催計画
  (3)会員拡大は目標を立て、節目ごとにとりくみます。
   会費の集金体制を確立します。
  (4)役員体制と組織の強化をはかります。
   ?事務局会議の定例化(毎月第一木曜)を確立します。
   ?運営委員会の定例化(2月、5月、8月、11月)
?地域に必要な場合、班、支部をつくり活動の活性化を図ります。
  (5)学習会・研究会を計画します。
   
共同行動の拡大推進をはかります
全国連絡センターの全国交流集会へ参加し、また、連絡センターが提起する運動に参加します。
 全国連絡センターの「地球温暖化対策を口実とする原発推進政策を見直し…」署名に取り組みます。
  全国連絡センターが発行する機関紙「げんぱつ」の購読を進めます。
  「核・エネルギー問題情報センター」発行の「NERIC News」の購読を進めます。
佐賀県原対協の活動推進にむけて協力します。
他団体との協力共同の発展を図り、できるかぎり共同行動に参加します。また、それぞれの学習会や討論会にも参加し交流します。 

12月2日玄海原発3号機のプルサーマル営業運転開始への抗議

                             2009年12月2日
九州電力代表取締役
眞部利應 様
                         玄海原発対策住民会議
                            会長 藤浦 晧
                       佐賀県原発問題対策協議会
                            会長 眞鍋 毅

    玄海原発3号機のプルサーマル営業運転開始への抗議

 使用済みMOX燃料の処理処分の方法の検討は2010年からとし玄海原発稼動から35年近くになるのに、高レベル放射性廃棄物の最終処分場もまだ決まらない状況でのプルサーマル営業運転開始に断固抗議する。
 日本以外の国々で中止された高速増殖炉の「もんじゅ」、青森県六ヶ所村の「再処理工場」のいずれも事故続発で稼動の展望もない現状は、国策である「核燃料サイクル路線」の事実上の破綻といわざるをえない。
 必要性、安全生、経済性に大きな問題をかかえるプルサーマル推進に大きな疑問を持たざるをえない。玄海原発は「原発の実験場」ではない。子孫に大きなツケをもたらす住民不在のプルサーマル推進に反対し、営業運転に強く抗議する。

※これまでの貴社に対する要求書、要望書類への回答を文書で、またあわせて社長出席のもとで話し合いの場を早急に開くよう要求する。

11・22原発の危険性を問うシンポジウムの御案内

 九州電力は、11月9日日本ではじめてのプルサーマルの発電を開始しました。玄海原発対策住民会議をはじめとする「プルサーマル原発)と私たちのくらし」実行委員会は、11月22日(日)午後2時から東松浦郡玄海町玄海町民会館で原発の危険性を問うシンポジウムを開きます。
 基調報告者は、吉井英勝衆議院議員です。パネリストにはプロダイバーの金子正さん、木工業の徳永哲さん、主婦の村山俊子さんです。お誘い合わせの上お気軽に参加ください。
 なお、資料代として300円いただきます。
 

「MOX燃料装荷に対する抗議並びに要求書」を九州電力社長に提出


 10月14日九州電力玄海原発3号機にMOX燃料を15日に装荷することを発表したことに対し、10月15日午前、玄海原発対策住民会議は、九州電力株式会社眞部利應社長に対し、次のような抗議並びに要求書を提出しました。

                            2009年10月15日
九州電力株式会社
社長 眞部利應 様
                             玄海原発対策住民会議
                             会長 藤浦 晧

        MOX燃料装荷に対する抗議並びに要求書

 貴社が、10月14日夕方、玄海原発3号機へのMOX燃料の装荷を15日に開始すると発表したことに対して、強い憤りをこめて抗議するとともに、玄海原発3号機へのMOX燃料の装荷の中止とともに、プルサーマル計画の中止を要求します。
 先月(9月)下旬の連休の頃、NHK佐賀放送局は夕方のラジオのニュースで関西電力がMOX燃料を自主検査したところ、16体中4体が基準を満たさず不合格にしたこと。九州電力玄海原発に搬入されたMOX燃料は関西電力の不合格になったMOX燃料より前に製造されているので品質が心配されるという趣旨のものでした。
 プルサーマルの安全性について危惧している団体グループは、それぞれに貴社をはじめ関係機関にこの件に関する事実の公表と説明を求めるとともに、住民の生命と財産の安全を確保するために、MOX燃料の装荷の中止や延期を貴社をはじめ関係機関に要求しました。
 佐賀県議会で、この件について請願している最中の先月30日、貴社は「10月3日からMOX燃料の装荷作業を開始する」という趣旨の発表をしました。その後の経過は、貴社が最もよく承知しているものと考えています。
 以上の経過を踏まえて、次のことを質問します。

1、今回の問題の中心課題をどのように把握(理解)しておられるか。貴職の見解を明らかにしてください。
2、貴社が関西電力がMOX燃料の自主検査をしたことを知ったのはいつですか。
3、貴社が関西電力の自主検査の結果、内容を知ったのはいつですか。
4、貴社は、玄海原発3号機に搬入されたMOX燃料について自主検査をしたのですか。
 自主検査をしたのであれば、詳細をよくわかるように説明してください。
5、貴社が関西電力のこの件の自主検査を、玄海原発に搬入されたMOX燃料について報道されはじめたのを知ったのはいつですか。
6、貴社は、この件について、自主検査をしたかどうかを含めて地元住民にによくわかるように、いつ、どのようなことを、どのような方法で発表(説明)したか説明してください。
7、貴社は、10月14日Press Releaseにも「積極的な情報公開に努め、地元の皆さまのご理解、ご協力を得ながら、プルサーマル計画を進めてまいります」と書いています。この件についても地元住民はもちろん、佐賀県民、福岡、長崎など近隣周辺の県民はもちろん、全国各地の人々が危惧の念を抱いてるのに、貴社は、消極的にすら情報公開をせず、9月30日の発表、そして今回の発表と、まさに暴挙を繰り返しています。
 貴社ならびに貴職は、私たちの今年7月26日の要求書にも回答していません。7月30日、私たちも加わった貴社佐賀支店での話し合いの際の質問や要求にも回答していません。
 早急な回答を要求します。
 私たちは、住民に必要な情報を公開せず、質問にも答えず、玄海原発3号機にMOX燃料を装荷する貴社の暴挙に抗議し、プルサーマルの中止と私たちの質問、要求に早急に回答するよう要求します。
 回答は、1週間以内に文書でお願いします。その数日後に、解答文書についての質疑、意見交換の場を設けてください。質疑、意見交換の場には貴職も出席してくださるようお願いします。